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☆リカバリーキャラバンフェイスブックもあわせてみてくださいね

https://www.facebook.com/recoverycaravanTai

福祉新聞でリカバリーキャラバン隊の冊子「精神疾患を持つ方が働くための合理的配慮の会話帳でっかい輪」を取り上げていただきました。

多くの皆様のおかげでいい冊子になりました。心より感謝いたします。

精神障害者が働くために必要な合理的配慮とは

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/10061

キャラバン隊がNHKハートネットTVブログの取材を受けています

仕事とともに、このキャラバン隊の活動が大きな生きがいとなっていると紹介されています。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/223531.html

2013年1月5日土曜日

日本のIPSについて 11. IPSの実際と支援者のスキル

日本のIPSについて
11.   IPSの実際と支援者のスキル

インターネット上でIPSに関する解説等を検索すると「理念としては素晴らしいが、実際には社会は厳しい」といった趣旨の記述も見受けられます。穴があくほど教科書を読んでも実践に行き詰るような感覚を持つ方がいるかもしれません。

そんなとき、IPSやストレングスモデルが影響を受けている下記のような分野の理論、スキルを勉強すると役立ちます。継続的に実践されているIPSは、必ず具体的なスキルを伴っているはずです。IPSを通して本人が獲得していくのは採用通知ではなく、一生役に立つような生きる力です。これらの活用の仕方は出版物や論文、研修で紹介していますから、興味を持ったら、お読みあるいはご参加ください。

¨       ナラティブアプローチ/質的研究
  私たちの目標が就職率の向上ではなくリカバリーにあるならば、当然援助は当事者が自らのリカバリーを語ることに焦点が当てられなければなりません。患者としての人生でなく、一市民としての生活と充実感を語る機会を積極的に作るIPSの手法はナラティブアプローチから学べます。またその語りの断片を質的に分析し、再構成する作業は質的研究によく似ています。

¨       解決志向アプローチ/Solution Focused Approach/ブリーフセラピー
  ナラティブアプローチ同様に社会構成主義による代表的な臨床技術である解決志向アプローチは、リカバリーと相性がいいです。問題とその解決にはフォーカスしないこの技術と発想は安全面にも配慮されており、トラウマ等を扱う際にも役に立ちます。効果的な質問技術は、企業とのコミュニケーションでも活用しています。同じくブリーフセラピーや家族療法の流れから発見に至ったレジリアンスの概念は、ストレングスモデル成立を支えていす。

¨       ポジティブ心理学/ポジティブサイコロジー
  解決志向アプローチのように問題や症状に焦点をあてないことを軸に発展したポジティブ心理学の一連の分野は、精神疾患の有無を問わず有効です。特に「患者とは異なる自己定義」を必要とするリカバリーには、このような健康な人のために開発された心理学の活用がこれから必要となるでしょう。楽観主義やベネフィットファインディングは、量的な研究においてもリカバリーとの相関関係が示唆されています。美徳と性格の長所に関する研究は、ストレングスモデルを具体化する際に役立ちます。フロー理論は一時的な快楽ではない幸福感/充実感の考察を助け、「単調な仕事」にも充実感をもたらすアイデアになります。

¨       ピアサポート/セルフヘルプグループ
 
リカバリー志向の援助は、ピアの関係を大切にします。困難感の共有と居心地の良さのみならず、自分の経験に基づき内発的に「自分らしく生きていくスキル」を獲得することの可能性と大切さの提示は、苦労していない援助者にはできません。ヘルパーセラピー原則の根拠の1つ「他人を援助することで自らを客観的にとらえるチャンスを持つ」もまた「持ちつ持たれつ」の関係の有効性と活用の仕方にヒントを与えます。特にリカバリー経験者を身近に感じることはロールモデルを持つことになり、代理体験による自己効力感の増幅、見通しの確保と楽観主義の採用、そして「リカバリーできない」というセルフスティグマの払拭に役立つでしょう。

¨       コミュニティソーシャルワーク
 
個別面接による援助、社会資源の到達の支援のみでなく、必要な社会資源を地域に創ることもまた大切な仕事だと考えるコミュニティソーシャルワークの視点は、IPSには欠かせません。インフォーマルな資源の開拓から始まり、地域の良き理解者を増やしては募り、ネットワークを構築します。こうして当事者の可能性を発揮できる環境を創ることは、エンパワメント理念の具現化です。

¨       ハーバード流交渉術とワールド・カフェ
 
その「良き理解者」創りには、社会構成主義に基づいたハーバード流交渉術がヒントを与えます。意見が対立したときでも対話を重ね、お互いの強みと選択の自由を確認し合いながら、共有できる目標を創作していく技術は、IPSの地域開拓でのスローガンwinwin関係の構築には欠かせません。地域での関係機関、企業、関係者(家族を含む)とのwinwin関係構築の会議/対話には、同じく社会構成主義にあるワールド・カフェの手法と雰囲気から多くを学べます。

¨       合理的配慮とセルフ・アドボケイト
 
エンパワメントの理念から障害者権利条約が生まれ、合理的配慮なき社会は差別に当たるという考え方が明文化されます。この切り札が実効性を発揮するためには、配慮が具体的に提示・要求されなければなりません。精神障害者に必要な合理的配慮の豊富なアイデアとその求め方を学習する機会の提供という援助が、これまた合理的配慮として社会に求められています。

¨       認知機能と道具による補整
 
精神疾患の症状に認知機能の障害が示唆されてずいぶん経ちます。いわゆる社会との不適応な状況をやる気などの「心、性格、資質の問題」でなく、脳の機能上の課題であることに気付くと対応が本人にとっても容易になります。例えば「やる気がない」のでなく、遂行機能や注意力、短期記憶などの認知機能の障害に起因した行動障害などと考えます。この際に道具を活用した対応は大きな可能性を生みだします。

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