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福祉新聞でリカバリーキャラバン隊の冊子「精神疾患を持つ方が働くための合理的配慮の会話帳でっかい輪」を取り上げていただきました。

多くの皆様のおかげでいい冊子になりました。心より感謝いたします。

精神障害者が働くために必要な合理的配慮とは

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/10061

キャラバン隊がNHKハートネットTVブログの取材を受けています

仕事とともに、このキャラバン隊の活動が大きな生きがいとなっていると紹介されています。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/223531.html

2013年1月1日火曜日

日本のIPSについて 7. IPSと薬物療法

日本のIPSについて
7.      IPSと薬物療法

もう1つ、医師の判断がカギを握る場面があります。働くことを念頭に置いた薬物療法です。桜ヶ丘記念病院ではIPSの取り組みと並行して、多剤大量処方を避け、単剤化、総投与量の適正化を目指してきました。

近年、使用されるようになった非定型抗精神病薬は、幻覚妄想などの陽性症状のみならず、従来の薬剤では効果の及びにくかった陰性症状や認知機能障害にも一定の効果が期待できます。従来薬に比して就労生活に大きな妨げとなりやすい錐体外路症状が少ないことも非定型抗精神病薬の特徴の1つです。その他、過鎮静やディスフォリアなど就労の妨げになりやすい副作用が少ない薬剤を検討するもポイントとなります。錠剤、細粒、注射剤、内用液、口腔内崩壊錠、持効性注射剤、徐放錠など近年多様となった剤型の中から、その人の好みやライフスタイルにあったものを選択します。さらに、勤務時間中や昼休みに服用しにくい昼食後の薬をなくす、あるいは11回就寝前のみの投与にするなど服薬回数、服薬時間などに配慮した処方にすることも重要です。

そもそも薬は飲まないと効きませんが、処方された通りに服薬している患者は、実は1割程度にすぎないという調査結果もあります。働きたいという希望に基づき、上記を本人とディスカッションしながら処方内容を決めていくプロセスを通じ、処方通り薬を飲む高いアドヒアランスが可能となります。IPSは、本人の希望をもとに主体的な治療態度を醸成するという心理教育的な効果を持っています。

IPSは重篤な精神障害Severe Mental Illnessがある者に適したサービスだと解説されている論文等を見かけますが、これは誤りです。確かに古くはそのように考えられていましたが、近年は早期介入時の優れた治療技術だということが指摘されています。つまり初回エピソードでIPSを提供した場合、予後が大きく改善するというものです。これにはIPSの修学援助という側面も大きく貢献しているでしょう。

発達障害の社会的認知とともに、早期発見・早期治療の必要性が叫ばれるようになる一方で、子どもを医療につなげることに強い抵抗を示す意見があることも事実です。わが子を受診させて後悔する親の言い分は大雑把に言えば、薬漬けになってしまったことに関するものがほとんどです。確かに日本の精神科医療の多剤併用・大量処方傾向と問題点が指摘されています。乳児に向精神薬が処方される時代に、医療=薬物療法と理解されることは歪んだ認知とは言えないものです。

ワーキングライフに書かれている通り、IPSを支えるものの1つに「新しい薬物療法」があります。サービス提供のプロセスでチームの一員である医師は処方内容の検討を行い、単剤化や総投与量の適正化、新薬への転換を積極的に模索します。しかし、それだけではありません。IPSの開始とともに、感情的なエネルギーが有り余る患者ならばそれを適切に発揮する場を探し、まとまりのない話を続ければ借金の取立て屋という仕事に可能性を見出します。空笑は職場の雰囲気を良くする魅力になり得ると考えます。従来は薬で抑え込んできた症状をむしろ長所として活かす方法を考えることで、生きるスキルを身につけながら社会の中で必要とされ、もともと持っていた生きる力を正当に発揮できるよう援助するのです。IPSは薬に頼り過ぎない治療とも言い換えられます。

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