【リカバリーの物語28】
第五章 リカバリーと五つの傾向
リカバリーを経験している方には様々な方がいます。しかし、インタビューなどの調査をするといくつかの傾向があるようでした。ここでは「ストレングスモデル」という本で試みられた質的な分類を参考に解説します。
①自分との関係
(ア)疾患と異なる自己定義
自己紹介をするときのことです。
主治医の前では自分は「患者」なので、短い時間で自己紹介するには病気や症状を中心に説明するのが普通です。親類の前では、「○○さんの弟のいとこです」といった具合に血縁関係で自己紹介するものでしょう。大好きな人とか尊敬する人に自己紹介するときは、どのように自分を説明するでしょうか。自己紹介をしながら、自分とは誰か、どういった人であるかを再確認しています。
様々な役割や自己紹介の中で、自分が好きだなと選んだ物をアイデンティティと言います。言い換えれば、自分らしさということ。
筆者は、ほこりによるアレルギーがありますが、自己紹介の時は触れません。つまり自分らしさとは関係ない属性だと考えています。精神疾患がありながらも充実した時間を過ごしている方たちは、同じように精神疾患とは別の自分らしさを持っている傾向があるようです。
【手記より】
自分は病気を持っているからとか、健常者と一緒にされるのは嫌だとか、病気のせいにして卑屈になるような気持ちは一切持っておりません。出来ないことはできないときっぱり言ってしまいます。健常者と比べてしまう、そのこと自体がもう病気を作ってしまっている一つなのかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿