【リカバリーの物語29】
(イ)自分の人生のコントロール感覚
精神疾患があると、突然の体調悪化などから病気に自分が振り回されていると感じやすいものです。そうでなくても、唯一頼れる医師に様々なことを指示され、その通り生活をしないと生きていけないと思うことでしょう。
家族もまた、患者に「○○してはいけない」とか「○○しなさい」と生活に制限を加えがちになります。「何かをしたい」と支援者に相談しても、「それを体を張って止めるのが私の仕事だ」と言った方もいました。
こうした環境により、精神疾患を持つと自分の人生の主導権を自分が握っているという感覚は失われてしまいます。すでに紹介したように、当事者が語るような「自我が希薄になる」という疾患特性に加えて、自分の人生を自分でコントロールしているという感覚を持ちづらい環境があります。
しかし、精神疾患がありながらも充実した時間を過ごしている人たちは、「自分の人生を自分でコントロールしているという感覚」があったり、そうすべきだという信念があるようです。
【手記より】
デイケアで「働きたい方は、ハローワークに同行する支援をします」というポスターを食い入るように見ていたときに、「どお、働いてみませんか?」と声をかけていただきました。そのときから、私は自分の人生は自分で決めよう、と決意しました。
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