5. 修学支援や社会参加支援の必要性
IPSの原則や評価尺度では追及されていませんが、ワーキングライフに代表されるアメリカのIPSの実践で大切にされる援助があります。それは精神障害者が一般の大学に通うための援助付き教育を提供するための修学支援も、同じスキームで提供することです。ワーキングライフ第14章のタイトルは援助付き教育です。また米国カルフォルニア州UCLAでのIPS実践報告が都内で行われた際は、事例のほとんどは大学就学の援助場面のものでした。健常者と机を並べて学ぶ大学進学は、一般就労と同じ価値があると考えます。同様に、地域のサークルに参加する活動やボランティア活動も、就労支援と同様に行うというのがIPSの特徴です。
IPSを「個別職業紹介とサポート」と訳したのは分かりやすくするために仕方なかったかもしれませんが、不適切な日本語訳だと考えています。これだと就労支援だけするように勘違いされてしまいます。1人ひとりを社会の中に配置=placementして、そしてそれが続くように支えるのが、IPSの英単語から連想されるイメージです。
「IPSは就労支援」と勘違いしている方は多いのではないでしょうか。国内で普及・定着させるにあたりこの点に配慮しないとIPSがリカバリーのための手段でなく、精神障害者を働かせ就職率を向上させるための使役ツールに落ちぶれる危険があります。
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