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☆リカバリーキャラバンフェイスブックもあわせてみてくださいね

https://www.facebook.com/recoverycaravanTai

福祉新聞でリカバリーキャラバン隊の冊子「精神疾患を持つ方が働くための合理的配慮の会話帳でっかい輪」を取り上げていただきました。

多くの皆様のおかげでいい冊子になりました。心より感謝いたします。

精神障害者が働くために必要な合理的配慮とは

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/10061

キャラバン隊がNHKハートネットTVブログの取材を受けています

仕事とともに、このキャラバン隊の活動が大きな生きがいとなっていると紹介されています。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/223531.html

2012年12月31日月曜日

日本のIPSについて 6. 医療との統合というIPSの原則

日本のIPSについて
6.      医療との統合というIPSの原則

IPSの支援態度は68原則として示され、時代や文献によって多少異なるものの、IPS発展の歴史と照し合せながら各原則を見比べると次の3つの源流があると整理できます。

()援助付き雇用の発想に基づく原則

()ストレングスモデルに基づく原則

()医療と統合される必要性を示す原則

()Place then Train、保護的就労でなく短時間でも一般就労を目指すなどの原則、()は本人の好みや選択に焦点を当てた職場開拓、働きたいと希望するすべての人がサービスの対象(除外基準なし)などの原則やIPSに失敗はないという理念のことです。迅速な職場開拓や経済給付に関する相談の対応は、援助付き雇用の守備範囲であるしストレングスモデルの視点からも重要といえます。原則にはありませんが、ピアサポートやセルフヘルプ活動の奨励等はリカバリー志向の援助(イ)として展開されると理解するのがよいでしょう。

これ以外に医療との統合に関する経験則をルーツにした原則があります。古典:ワーキングライフの8原則によれば、「リハビリテーションは(中略)精神保健の治療」の1要素であり、「職業サービスと臨床的サービス、支援サービス」を統合したものです。ということはIPSを提供する超職種チームの中に、診断書を書き、薬を処方し、治療方針を示す主治医が入っていなければなりません。医療保健チームとの統合とは、単に看護師や精神保健福祉士、保健師、臨床心理士、作業療法士など医療系資格を有するスタッフがチームにいればいいという形式的な条件でもありません。患者の生活に必ず関わり大きな影響を及ぼしかねない、あの主治医を巻き込んでいないとIPSの定義から外れ、エビデンスに照らせば「効果の薄い対照群」に含まれます。

名簿に主治医の名があればいいというわけでもありません。主治医も患者の可能性を尊重し、本人とともに選択した就労に伴う体調悪化もまたリカバリーのプロセスだととらえるような治療方針を示すことで、就職率などの統計的結果に響いたというわけなのです。主治医の判断が必要とは、主治医の的確な判断が就労可能性を拡大するというわけではありません。患者の職場での様子や就労支援に関しては素人の医師がいわば「余計なこと」をしないようチームで援助することで、患者の可能性を閉ざさないことができます。作業所が3日しか続けられなかった彼女がそれでも働きたいと言えば、挑戦したことのない「一般就労の可能性は未知数」ととらえ、IPSは開始されます。働き始めたら過量服薬を起こす患者がいても、就労によるストレスが原因だと安直に判断しません。過量服薬する状況と感情、行動を整理する認知行動療法/解決志向的な介入から、むしろ働き続けることで問題行動は減少したことがありました。

すでに述べたように、この医療との統合はわが国でIPSを実践する際の最大のハードルになっています。医療機関と就労支援との関係と可能性については、国内での調査研究を踏まえて後に触れます。

2012年12月30日日曜日

日本のIPSについて 5.修学支援や社会参加支援の必要性

日本のIPSについて
5.   修学支援や社会参加支援の必要性

IPSの原則や評価尺度では追及されていませんが、ワーキングライフに代表されるアメリカのIPSの実践で大切にされる援助があります。それは精神障害者が一般の大学に通うための援助付き教育を提供するための修学支援も、同じスキームで提供することです。ワーキングライフ第14章のタイトルは援助付き教育です。また米国カルフォルニア州UCLAでのIPS実践報告が都内で行われた際は、事例のほとんどは大学就学の援助場面のものでした。健常者と机を並べて学ぶ大学進学は、一般就労と同じ価値があると考えます。同様に、地域のサークルに参加する活動やボランティア活動も、就労支援と同様に行うというのがIPSの特徴です。

IPSを「個別職業紹介とサポート」と訳したのは分かりやすくするために仕方なかったかもしれませんが、不適切な日本語訳だと考えています。これだと就労支援だけするように勘違いされてしまいます。1人ひとりを社会の中に配置=placementして、そしてそれが続くように支えるのが、IPSの英単語から連想されるイメージです。

IPSは就労支援」と勘違いしている方は多いのではないでしょうか。国内で普及・定着させるにあたりこの点に配慮しないとIPSがリカバリーのための手段でなく、精神障害者を働かせ就職率を向上させるための使役ツールに落ちぶれる危険があります。

2012年12月29日土曜日

日本のIPSについて 4. IPSの評価尺度:フィデリティ

日本のIPSについて
4.      IPSの評価尺度:フィデリティ

IPS支援の純度を測る評価尺度は、欧米では作成されました。これを日本語に訳したものは作成されました(ツールキットに掲載)が、「日本語版」の信頼性と妥当性はまだえられていません。さらに、日本の実践を計測するのに適した「日本版」はさらにその先です。

日本語版の信頼性と妥当性とは簡単に言うと、日本語訳を使って欧米の実践を計測し、英語版と同様の採点結果が得られるかどうかの検証により確保されると考えられます。例えばアウトリーチをアウトリーチと訳すのか、訪問による支援と訳すのかなど、訳語の選定により評価尺度が歪まないかを確認する作業です。

日本版とは、さらに日本の文化、社会資源制度に合った尺度に変換して出来上がります。生活保護、障害年金、特例子会社や雇用率、就労継続A型事業所などは日本にしかない制度です。これらをどうとらえ、定義するのかIPSに詳しい専門家で検討して、尺度を構成したり基準となる概念の妥当性が確保された仮の尺度が作成されるでしょう。それに基づき、「これは誰が見たって純度の高いIPSという結果が出なければおかしいだろう」という支援を試しに計測し、予想に反して純度が低いと出れば尺度が間違っていたと考え、尺度の方を変更します。こうして無難な結果が得られるのが確認できたら信頼性と妥当性が確保された尺度の完成に至ります。現在、IPS7原則すべてを満たした継続的な実践は、国内では桜ケ丘記念病院でしか見られないことから、「これは誰が見たって…」という支援の1つに桜ヶ丘記念病院の実践が含まれると考えられます。

尺度とは学術あるいは科学的根拠を計測する目的で使用されると考えられますが、日本の実践をツールキット掲載の日本語訳版で計測しても、学術的には意味がない段階だと私たちは認識しています。それを踏まえ桜ヶ丘記念病院の実践のフィデリティを測定すると、ケースロードの部分で減点が考えられそうです。ES:就労支援専門員1名で110名を抱えていると計算するとかなりの減点です。終結がないため、年を経れば転院を除けばケースは増加する一方ですが、定期的な受診時に就労状況の報告・相談があること、企業も時間を経るとサポートがうまくなること、体調管理ツールでセルフモニタリングスキルを身につける支援を初期に重点的に行うことなどにより、就労支援専門員で抱える必要が軽減できます。また、ケースのだいたい23割は地域の就労支援機関とチームを形成しており、それらにおいてES:就労支援専門員は地域のジョブコーチ等と見なせると考えられます。

2012年12月28日金曜日

日本のIPSについて 3. 日本でのIPSの試み

日本のIPSについて
3.      日本でのIPSの試み

日本でのIPSの実践は2005年ごろが最古のものと言えます。国のモデル事業として千葉県市川市(国立精神・神経センター国府台病院)、愛媛県宇和島市の地域で試行されました。また東京都多摩市の桜ヶ丘記念病院もこの時期に開始しています。また少し遅れますが、同じく東京都多摩地域にある他の精神科病院でも同様の取組が始まり、わが国での初期のIPS実践報告や普及啓発はこのメンバーにより行われてきました。千葉県市川市、愛媛県宇和島市はモデル期間終了とともに事業は終了し、また多摩地域の精神科病院の取組も職員の退職により実践は終了しました。なお、桜ヶ丘記念病院は現在もこれを続けています。

その後、障害者自立支援法の施行に伴い、医療機関でなく、就労移行支援事業所などによるIPSモデルの採用が、一部の熱心な先駆者により行われました。千葉県市川市や多摩地域精神科病院でIPSを実践した方たちも、この福祉系サービスとしてIPSモデルに取組んでいます。そして、最近、障害者就業・生活支援センターやデイケアなどの医療機関でもIPSモデルに取り組み始めた実践が他にいくつか見られるに至っています。私たちが支援者養成研修を行った地域のうち、北海道、宮城県、長野県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、岡山県、広島県などでは程度に多少の違いはありますが、IPSの考え方を採用した援助が現在も展開されているのを確認しており、成果を上げ始めています。

ただし、IPSの支援態度は7原則として表現されていますが、このいずれをも満たした継続的な実践は桜ヶ丘記念病院以外にありません。7原則のうち、精神科リハビリテーションとの統合という原則について、福祉・労働系のサービスでは困難なようです。また医療機関であってもデイケアでこれを行う場合、すべてのケースについて主治医をチームに入れることは難しくなります。桜ヶ丘記念病院においてもIPSワーカーの配属先は、デイケアから医療相談室に転換することで、外来・入院患者すべてに門戸を開くと同時に、医師との頻回な打合せが可能となりました。またこのことで、地域の就労支援機関とチームを形成することが容易になりました。

桜ヶ丘記念病院は都内多摩地域にある病床数518床の単科の精神科病院で、平成16年からデイケアにて準備モデルで就労支援を、17年にIPSを開始。18年には準備モデルプログラムは廃止。19年からIPSの提供部門をデイケアから医療相談室に移し、デイケア利用者に限らず外来・入院患者すべてに対しIPSの門戸を開きました。本拠地を相談室に移した頃から、院内だけでなく地域の関係機関とチームを形成したIPSを展開しています。当院に主治医を持っていれば誰でもこのサービスは無料で利用でき、現在のIPS利用者総数は110名前後に至っています。

桜ヶ丘記念病院のIPSチームに加わることが多いスタッフは60名弱(医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師等)、院内の IPSワーカー(いわゆるES:就労支援専門員)1名となっています。この1名は精神保健福祉士であり、国(障害者職業センター)の第1号職場適応援助者(いわゆるジョブコーチ)として稼働する資格を有しています。院内にIPS専門の多職種チームが常駐しているのでなく、クライアントの個別性に応じて院内外の関係者によりIPSチームが随時、形成されます。

2012年12月27日木曜日

日付の誤りについて(お詫びと訂正)

日付の誤りについて(お詫びと訂正)

先にお知らせした研修会について、ブログとチラシの日付に誤りがありました。
ここにお詫びして訂正します。
 

平成25215日(金)精神障害者の就労支援 IPSスキルアップ研修 東京都調布市
http://recoverycaravan.blogspot.jp/2012/12/ips.html

(誤)平成24215
(正)平成25215
 

平成25216日(土)第2回実践に基づくIPS学会 東京都調布市
http://recoverycaravan.blogspot.jp/2012/12/2ips.html

(誤)平成24216
(正)平成25216


平成2532日(土)医療機関で就労支援を始める方法
http://recoverycaravan.blogspot.jp/2012/12/32.html

(誤)平成2432
(正)平成2532

3/2医療機関で就労支援を始める始める方法(東京都調布市)


医療機関で就労支援を始める方法



医療機関が就労支援に参加することで、精神障害者はもっと働けることを示唆するデータは存分にあるものの、医療従事者たちは患者の症状に着目し保護的な態度で関わると指摘され、就労支援に参加する医療機関は少ない現状があります。

この企画は、医療機関で就労支援を始めたいと考える現場のスタッフが、その方法についてイメージが持てるようになることを第1の目標に行います。関係する医療機関に就労支援を始めてもらいたいと考える福祉機関の方、あるいは自分が通う医療機関で就労支援を開始してほしいと期待する利用者にとっても役立つ情報提供とディスカッションを予定しています。

  この企画は2012年度日本精神障害者リハビリテーション学会で行ったワークショップを再現するものです。

 

日 時:平成2532() 13時~15

講 師:中原さとみ(桜ヶ丘記念病院)、飯野雄治 他当事者数名

場 所:調布市市民プラザあくろす2階会議室1(京王線国領駅北口からすぐ)

参加費:無料

対 象:参加したい方ならどなたでも構いません。必要な配慮があればご相談ください。

申し込み事前に参加人数は把握したいのでrecoverycaravan@gmail.comまでなるべくメールしてください。(メールできなければ、当日直接来てください)

 

IPSとは・・・精神障害者は対人関係が苦手でストレスに弱い、不器用だから色々訓練してからでなければ働けないと考えられ、訓練重視の就労支援が多く提供されてきました。しかし、職探しをいち早く行い、実際に働く職場に合わせて支援した方がずっとうまくいくことが分かりました。

さらに本人の希望や気持ち、そして長所を尊重し、医療と一体となると、統計的により高い就職率や定着率が確認できました。この方法をIndividual Placement and Supportの頭文字を取り、IPS(アイ・ピー・エス)と呼びます。日本でもこうした援助が具体的に紹介されています。IPSは精神疾患がありながらも充実した人生を歩めることを目指して、就労などの社会参加支援を行ないます。

 

内 容 (予 定)

1.      医療機関における就労支援に関する国内外の研究から分かっていること

2.      医療機関で就労支援を取り入れた経験者の報告

3.      医療機関で就労支援を始める方法の提案


参加者とのディスカッション



 

日本のIPSについて 2.ACTとIPS

日本のIPSについて
 
2.     ACTとIPS
 
わが国ではIPSと一体的に紹介されることも多いですACTは、理念に共通点もありお互いに刺激し合って成長してきた援助モデルですが、ルーツもサービス提供チームも全く異なる別のものです。ワーキングライフでも、そのことがうかがえる記述があります(例えばP43)IPSとはACT チームで提供される就労支援部分のことだと記述された論文等がありますが、これは誤りです。

IPSは保護された環境にはない社会が持つ「場の力」を知っています。患者ではなく働く者として(as a worker)生活することがリカバリーにもたらす作用を経験的に活用したリハビリテーションです。髪を切るのは病室でなく床屋、排泄はポータブル便器でなくトイレであり、働くのはデイケアや作業所でなく職場であるべきだと考えます。同じように医療処置を受けるのは自宅でなく病院が適切だと考えます。強い症状が出たときや薬の変更時など高度な医療的処置や観察が必要な場合、自宅を治療の場としない入院という社会資源を選択肢として提供し、リカバリーのために効果的に活用することが可能となっています。入院させないことを目的とした支援では、体調管理の方法として「短期間、入院する」というスキルを持ち合わせた患者に対応せず、患者は転院して入院し退院後にまた転院するという現象も起きています。入院期間が長引くと希望の喪失や体力低下、地域との関係の断絶など副作用も出かねないので慎重に検討しますが、入院しながら就業を継続するためのIPSを提供することもあります。これは日本ではIPSと一体的に紹介されることが多いACTとの違いでしょう。ただし、いずれもストレングスモデル、リカバリー志向を基調とした個別支援プログラムであることには変わりありません。

2012年12月12日水曜日

IPSって何だろう(東京都北区)

平成24年度第1回「日本職業リハビリテーション学会 関東ブロック研究会」研修会

IPSって何だろう

IPS (Individual Placement and Support)
IPS(個別就労支援プログラム)は、重い精神障害者であっても、本人に「働きたい」という希望があれば一般就業への就労支援を提供し、就職後も医療や生活支援との統合的なサービスを提供します。1990年代前半にアメリカで開発されました。日本でもかなり普及していて職リハ学会の学会誌でも特集しています。今回はIPSの日本での実践者・研究者からの報告を聞き、討論を通して理解を深める研修会を開催します。ぜひご参加下さい。

《日 時》
平成25年2月11日(月・祝)13:30~16:30  (13:15より受付)

《会 場》
(ほく)とぴあhttp://www.kitabunka.or.jp/kitaku_info/rlink/summary-map
東京都北区王子1-11-1 電話03(5390)1110 

《交通》王子駅(JR京浜東北線、東京メトロ南北線)
王子駅前(都電荒川線) *下記会場案内図参照

《内 容》『講師のお話と参加者を含めた討論』

《講 師》
中原さとみ(リカバリー・キャラバン隊)

飯野 雄治(リカバリー・キャラバン隊)

春名由一郎(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター)

           開始 13:30  質疑応答あり  終了 16:30


《参加費》学会員 無料   / 非会員 500円

《定 員》50名(申込順とし、定員に達しない場合、当日受付あり)

《主 催》日本職業リハビリテーション学会・関東ブロック研究会
 

お申し込み、および問い合わせ先

1.申し込み方法
E-mail またはFAXでお願い致します。
「関東ブロック研究会参加希望」とし、氏名、所属、電話番号、学会員か非会員かをお知らせ下さい。

2.申込み締切 平成25年2月4日()

3.申込み・問い合わせ先
日本職業リハビリテーション学会 関東ブロック研究会 事務局
E-mailkei_has@yahoo.co.jp
FAX048(725)0211(橋本宛)

 

2012年12月10日月曜日

リカバリーの学校 in 小諸(長野県小諸市)

リカバリーの学校 in 小諸
2013年1月18日(金)・19日(土)9:00~17:00
布引温泉こもろ「コンベンションルーム」 

【会場案内】
布引温泉 こもろ
〒384-0071 長野県小諸市大久保620-3
HP: http://nunohikionsen.info/
(HPに写真付きの簡略道路説明が掲載されていますので、合わせてご覧下さい。)

【講師紹介】                           
リカバリー・キャラバン隊は、リカバリーを経験した方たちの声や経験を社会資源として活かし、リカバリーの力を配達するユニットです。支援者、当事者、家族などが一緒に学ぶ場として「リカバリーの学校」を設けています。ここでは、精神疾患のある方が参加しやすい環境を整え、疾患経験者もコメンテーターとして迎えます。充実した人生を歩むために参考になりそうな話題を、分かりやすく皆で学んでいます。   

【当日のプログラム】
☆1月18日
 ・リカバリーの物語   
 ・リカバリーの定義
 ・長所シートとコンプリメントのワーク
 ・エンパワメント
 ・私らしさシート
 ・目標と計画シート
☆1月19日
 ・IPSについて
 ・ジョブマッチング
 ・精神疾患という経験から得られるよいこと
 ・やる気と困難
 ・私に必要な配慮シート

『リカバリー』ってなんだろう??
「リカバリー」を直訳すると、「取り戻す」、「回復」といった意味があります。回復というと、病気が治ることとイメージすると思いますが、「リカバリー」という用語は、病気が治る
ことを指すキュア(治癒)とは少し違った概念です。精神疾患のみを見るのではなく、病気を持ちながらも、かけがえのない命を生き、自分らしい充実した生活を送る、そのような
人の存在全体を大事にする考えが「リカバリー」という言葉に込められています。

参考書籍:
「ビレッジから学ぶ リカバリーへの道」
「IPSハンドブック 働くこととリカバリー」
「リカバリーの学校の教科書」より

日本でも先駆的な取組みです。精神疾患をお持ちの方やそのご家族精神保健福祉に興味のある方にオススメ!

●お問い合わせ・申し込み方法
 お名前(所属)、お電話番号、メールアドレスをご記入の上、下記の方法でお申込み下さい。
 〒384-0006  長野県小諸市与良町6-5-3
 NPO法人ウィズハートさく ワークポート野岸の丘  担当 瀬田
 TEL&FAX:0267-24-1244   E-Mail: tishikawa@ctknet.ne.jp
 ※尚、昼食は各自でご用意頂きますようお願い致します。コンベンションルームでのお食事は出来ません。
 会場内にレストランも御座いますが、席に限りがありますので混雑が予想されます。
  
●主催  特定非営利活動法人 ウィズハートさく
●後援  小諸市
この講演は“長野県地域発元気づくり支援金”の助成金を受けて実施しています。

           
【主催団体の紹介】
特定非営利活動法人 ウィズハートさく
「このまちで、あるがままに暮らして行くために」
ウィズハートさくの名前には、「WITH」(ともに)、「HEART」(こころ)そして「さく」(佐久・咲く)で「ともにこころの花を咲かせよう」という願いが込められています。心に病をもつ皆さんが、住みなれた地域で生き生きと、自分らしく生活することができるよう、多方面の活動を行っています。

今回講演会を行う小諸市にもウィズハートさくが小諸市指定管理を受け運営する、多機能型事業所“ワークポート野岸の丘”があります。野岸の丘は、生産活動や集団活動を通じてすべてのメンバーが病気や障がいから回復(リカバリー)し、キャリアアップができるように機会を提供しています。









2012年12月4日火曜日

医療関係者の方からいただいている感想より

医療関係者の方からいただいている感想より

嬉しいことに、私たちの学会発表を聞いて就労支援を始める方たちが増えています。
先日の日本精神障害者リハビリテーション学会でのワークショップをヒントに、また1つそんな病院が増えそうです。



精神科リハビリテーション学会での自主企画は私にとってかなり役にたちました。IPSについて大雑把に知ってはいたものの、当院の体制ではできないと思い込み詳しく理解しようとしていませんでした。
当院では外来作業療法を主に実施しています。日常業務において、市内および近郊事業所さんとは有機的なお付き合いをしてきているのですが、病院職員のもつ”専門性”が活かされないことがあるので困っていました。特に就労となると事業所さんに丸投げする形になってしまうので、リハビリを専門とする私としてジレンマを感じていました。自分のところで就労を支援していく体制を整えれば本人の状況に細かく対応でき、医療機関としての対処もタイムリーに行えるのだと気づかせていただきました。必要に応じて地域施設を利用しつつ、IPSに基づいて試行錯誤していこうと考えています。
自主企画の参加人数は少なかったかもしれませんが、とても意味のあることですので、ぜひこれからも啓蒙し続けてください。

2012年12月1日土曜日

2/16第2回実践に基づくIPS学会(東京都調布市)

第2回実践に基づくIPS学会(東京都調布市)

精神疾患がある方の個別のリカバリー支援であるIPSには、支援の7原則があります。

これにもう1つ、大切な原則を加えるとしたどんなものがあるでしょう?

実践経験から一緒にワールドカフェ方式で考えてみませんか?



◆日時:平成25年2月16日(土)10時30分~14時30分(昼休みあり)

◆進行:リカバリーキャラバン隊 中原さとみ、飯野雄治

◆場所:調布市市民プラザあくろす2階 会議室1(京王線国領駅北口からすぐ)

   (住所:東京都調布市国領町2-5-15)

◆参加費:1000円(資料代・会場費)



◆ IPSの7原則

働きたいと希望するすべての方を対象とする

就労支援と医療保健サービスを一体的に提供

職探しは本人の希望、興味、好みに基づく

福祉的就労でなく短時間でも一般就労を目指す

本人が希望すれば迅速に職探しをする

生活保護や年金など経済給付の相談も受ける

就職後のサポートも行う



◆主な対象者 

興味のある方なら、誰でもウェルカム!

・支援者、学生

・精神障害の当事者

・障害のある方の家族

※安心して参加できるためのルールを設けます



◆内容

1テーマと背景について(飯野)

2「こんなとき、こうしてきた」(中原)

3私のアイデア(寄稿者)

4経験から学ぶため話し合う(中原)



◆申し込み

事前に参加人数は把握したいのでrecoverycaravan@gmail.comまでなるべくメールしてください。(メールできなければ、当日直接来てください)



主催:リカバリーキャラバン隊 Yes,we’re the Recovery Caravan!



アイデアやテーマ、寄稿者も募集しています

◆実践に基づくIPS学会とは

リカバリーのための就労支援が全国各地で始まっています。実践に基づくIPS学会では、理屈ではなく支援の現場だからこそ得られた経験を活かし、そこから得られる知恵、知識、アイデアを共有し学ぶための会です。



◆「臨床の知」の必要性

私たちは経験から学び、成長します。これに疾患の有無は関係ありません。「科学に代表される〈近代の知〉は確かに大きな成果を生んだが、例えば医学文明は人間の痛みを麻酔することにより、他人への思いやりの基礎を奪うなど、人間を非人間化された生存にしてき」ました。「自己を括弧に入れて責任を回避する客観主義や普遍主義の落とし穴に落ちないために、経験から多くを学ぶ臨床の知、れっきとした根拠を持った臨床の知を身につける必要」があります。



◆客観性を超えて

合理性や効率主義は、人を疎外化すると指摘され久しいにもかかわらず、誰にでも同じ結果が得られるよう作られた診断基準は「精神科臨床実践に対して非人間化の作用を及ぼした」とようやく気づかれました。

客観性、普遍性、本質的なるものは神話であることを示した社会構成主義は、Evidence Based MedicineからNarrative Based Medicineへという流れを作っています。



◆私たちのめざすもの

支援者であろうと利用者であろうと、経験と言葉により私たちは知恵と技術をつむぎ、社会的事象を構築しています。私たちは支援するための技術を、支援者とその利用者の経験から知恵を構築し、そのたびに体系化することを目指しています。そしてそれはその利用者とともに対話しながら行うべきと考えています。



◆リカバリーキャラバン隊より募集

実践に基づくIPS学会では、実践の中で身に付けたIPS支援者あるいはサービス利用者の知恵、報告者、あるいは取り上げてほしいテーマを募集しています。recoverycaravan@gmail.comまでメールしてください。実践に基づいた知恵を持ち寄り、IPS臨床の知の構築を一緒に行いましょう。



会場は熱気に溢れていました。今回のテーマであった、”原則にもう一つ加えるとしたら何かを考えること自体が、”そもそもIPSとは?”を改めて考える機会になったようです。
下記は参加者の皆さんのアイデアと気づきです。
参加者の皆さま、本当にありがとうございました。
 
私のアイデア“新原則”
・情報を把握する。
・個人の能力を活かせる場所を見つける。
・家族のサポート 家族も健康になる。
・サポーター(医療側)も企業もよく立場を話す。
・情報の共有化。(本人の意思にそう)
・ピアサポーターを増やし伴走する。
・企業主体。
・地域社会の中でボランティアを活かす支援。
・可能性を引き出せる支援。
・企業と当事者のすり合せ。
・働くことはなにかと企業を良く知る!
・その人のもとめる物を捜す。
・より良い理解者。
・具体的なイメージをもつ。企業サイドからの話も参考にする。ピアサポートの活用。働く楽しさ。
・IPSは常に地域や学生など周囲のサポートを入れる。
・なんでもかんでも訓練は良くないが訓練が必要な仕事もある。
・尊厳を重んじて支援する。
・情報共有(公開)。
・誰に相談できるか分からない時はここ見てネというサイトを用意する。
・就労移行支援施設は多くあるので、個々の特色を持ち、独々の現場に近い訓練を行い、会社の要求に答える。
・支援者は自分の働き方仕事の仕方を見直す。
・支援者は地域についてもっと良く知る。
・アメリカ式?日本式?ではなく、地域単位でのカスタマイズが必要。
・ゆとりある支援=時間+支援者+当事者。
・IPSの多様化地域性、独自性、特色うちだす(オリジナル版)。
・「当たりまえ」の効率化。
・支援者は多いほど良い。
・必ずしも訓練がよくナイわけじゃない。
 
気付き(考えたこと)
・地域によって全然ニーズが違うということがわかった。
・効率化や分業化の弊害。
・企業側の視点を持つバランスの重要性。
・自分中心でなく周りとのつながりで生きてゆく。
・仕事・・・・生きるあかしかもしれない。
・コミュニティの重要性。
・立場によってニーズや主張するコトがずいぶんと変わる。
・同じように困っているし問題意識を持っているんだ。
・企業との折り合いは可能である。
・あたってみれば、就労支援は、楽になるのでは。
・IPSはまだ発展し得る。HOPE。
・説明することのむづかしさ、理解することの大切さをしる。
・伝えることの「責任」をもつことに気づく。
・必要なときに対応できていない現実を打破したい。
・7つの原則も立場等により、捉え方が違う。その事からそもそもIPSは幅のある支援なのかな。
・“原則”を“考え方”に変えた方が良い。
・何気なくやっていた支援。大切な態度・価値がわかった。
・やはり会社のことを知らない。
・訓練という言葉への私達のもつこだわり。
・既に多くの取り組み・工夫をしている人に出会えてよかった。色々な可能性がまだ残されていることが確かめられた。
・支援の現場でも“生産性”を考えた方が良いとあらためて感じた。
・支援者によって原則のとらえ方がちがう。
・社会資源を当事者の人が知らなすぎ。とこに情報を求めていっていいかすらわからない。
・営業トークに訓練が必要。
・雇用してもらう先(会社)の状況をよく理解する。
・福祉は企業を知ってお金にあざとい思考をつける。








 
 

2/15精神障害者の就労支援 IPSスキルアップ研修(東京都調布市)

日本財団助成事業


精神障害者の就労支援 IPSスキルアップ研修



IPSあるいはストレングスモデルやリカバリーを意識した支援を心がけているが、「やはり現実は厳しい」などと感じている方。一緒に学びませんか?ポジティブ心理学の最新の知見や解決志向アプローチなどの技法をおりまぜつつ、ワークショップを多用した研修を用意しています。ぜひご参加ください。

精神障害者の就労支援IPSは、高い志や熱意だけでは実践できないようです。この研修では、エンパワメントなどの理念のルーツを再確認することから始め、長所を発見するための視点や会話法、win‐win関係構築の交渉術、楽観的発想、障害や症状を活かした逆転の発想について学び、実際にワークショップ形式で事例検討することにより実践力を身につけます。IPSは実際に実践可能であると感じることがこの研修の目的です。



◆日時:平成25年2月15日(金)10時00分~16時30分(昼休みあり)

◆講師:リカバリーキャラバン隊 中原さとみ、飯野雄治、渥美正明ほか

◆場所:調布市市民プラザあくろす3階あくろすホール(京王線国領駅北口からすぐ)

   (住所:東京都調布市国領町2-5-15)

◆参加費:無料



◆内容

エンパワメントをもう一度

解決志向の長所探し

社会とのパイプ役になろう

合理的配慮と逆転の発想のために

困難の活かし方

ジョブマッチング



◆主な対象者

興味のある方なら、誰でもウェルカム!

支援者、学生

精神障害の当事者

障害がある方の家族

※IPS支援者養成研修を受講した方を想定していますが、希望される方は本プログラムのみに参加しても構いません。

※安心して参加できるためのルールを設けます



◆申し込み

事前に参加人数は把握したいのでrecoverycaravan@gmail.comまでなるべくメールしてください。(メールできなければ、当日直接来てください)



主催:リカバリーキャラバン隊 Yes,We’re the Recovery Caravan!

12/19企業向けセミナー精神障害者を雇用できた理由(岐阜県多治見市)

企業向けセミナー精神障害者を雇用できた理由


平成24年 12月19日(水)13:30 ~ 15:30(13:00~受付)

会場:東濃西部総合庁舎(5F 大会議室) 
(住所:多治見市上野町5-68-1 TEL:(0572)23-1111)
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kensoshiki-annai/ken-shisetsu/map039.html

講師:リカバリーキャラバン隊  中原 さとみ、飯野雄治、中村孝

内容:精神障害者を雇用する企業へのアンケートで得られた雇用ノウハウなどの報告会。

1. 精神障害者を雇用するメリット

2. 精神障害者を雇用できた理由

3.その他、体調管理やモチベーションの保ち方、雇用に必要な配慮についてレクチャーします。

対象者 企業の方、障がい者支援機関・団体の方

参加費 無料

主催  東濃圏域障がい者自立支援推進会議 就労・雇用支援部会

【お問い合わせ】東濃障がい者就業・生活支援センター サテライトt(菅野・加藤)

〒507-0073 多治見市小泉町2丁目93ルミナス小泉102号

℡ 0572-26-9721  Fax 0572-26-9722



2012年11月27日火曜日

平成25年1月から3月の日程調整を開始しました

平成25年1月から3月の日程調整を開始しました


精神障害者のリカバリー・就労支援(IPS)研修等について、平成24年1月から3月の日程調整を開始させていただきます。予算や日程の都合から、全てのご要望にお答えできないことも考えられますが、この機会にぜひ希望をご連絡ください。また、職場内でこの研修等を説明するための資料についても、必要に応じて提供させていただきます。地域で理念を共有することは、連携を円滑にすることにとても役立ちます。
なお、費用について私どもで助成を受けていますが、活用できる財源がありましたら、ご協力いただけると助かります。

なお、ご連絡は"リカバリーキャラバン隊" アドレス
recoverycaravan@gmail.com
にいただきますよう、お願い申し上げます。

【以下参考にしてください】
☆ あなたの地域で精神障害者の就労支援研修(IPS研修)を行ないませんか?
http://recoverycaravan.blogspot.jp/2010/11/blog-post_27.html

☆ リカバリーの学校のご案内
http://recoverycaravan.blogspot.jp/2010/05/blog-post.html

2012年11月21日水曜日

日本のIPSについて 1.IPSに対する世界的な評価

日本のIPSについて

1.IPSに対する世界的な評価
精神障害者の就労支援についてはIPSという一定の支援原則に沿った方法が世界中の研究で就職率、定着率で有効性を示し、一番効果がある認識されています。支援原則は68原則として示され、これに沿った支援とそうでないものを比較し有効性が検証されています。これについては、職業総合センターがIPSに関する論文を見渡して整理してまとめた「医療機関における精神障害者の就労支援の実態についての調査研究」報告書が一番詳しく、かつ無料で公開されているものとなります。


IPSの原則、支援の中身については、ワーキングライフという本で初めて日本に紹介されました。IPSが生まれたアメリカでは、支援方法の忠実度:フィデリティも開発され、一定の原則以上に支援のコツが細かく規定されるに至っています。ワーキングライフにおいても、その一部(あるいは試み)は紹介され、どのような実践が適切なのかについてイメージできるようになっています。国内では私たちの「働くこととリカバリー、IPSハンドブック」が唯一の出版物として、具体的な様子を紹介しています。

なお、わが国ではIPSと一体的に紹介されることも多いですACTは、理念に共通点もあり相性はいいかもしれませんが、ルーツもサービス提供チームも全く異なる別のものです。ワーキングライフでも、そのことがうかがえる記述があります。IPSは保護された環境にはない社会が持つ「場の力」を知っています。患者ではなく働く者として(as a worker)生活することがリカバリーにもたらす作用を経験的に活用したリハビリテーションです。髪を切るのは病室でなく床屋、排泄はポータブル便器でなくトイレであり、働くのはデイケアや作業所でなく職場であるべきだと考えます。同じように医療処置を受けるのは自宅でなく病院が適切だと考えます。強い症状が出たときや薬の変更時など高度な医療的処置や観察が必要な場合、自宅を治療の場としない入院という社会資源を選択肢として提供しています。入院期間が長引くと希望の喪失や体力低下、地域との関係の断絶など副作用も出かねないので慎重に検討しますが、入院しながら就業を継続するためのIPSを提供することもあります。これは日本ではIPSと一体的に紹介されることが多いACTとの違いでしょう。

2012年11月20日火曜日

精神疾患があっても働きたいあなたへ

精神疾患があっても働きたいあなたへ

働きたい気持ちを大切にしましょう。
働きたいというのは、とても自然な気持ちで素敵なことです。この気持ちが充実した自分らしい時間を取り戻す手がかりとなり、やがては症状を軽くする可能性があります。初めからあきらめていては、始まりません。働きたいと思ったら、それを応援してくれるところへ相談しましょう。働くことをあきらめるよう説得する人もいるかもしれませんが、働きたいという気持ちを大切にしてください。

8年間の入院を経験し通い始めたデイケアに「働きたい人は、ハローワークに一緒にいきます」と書かれたポスターがはりだされていました。食い入るように見ていたら「働いてみませか?」と声をかけられました。そして「よし、自分の人生は自分で決めよう」と思い、「お願いします」と言いました。今は政治関係の仕事に就いています。
(統合失調症、40代、男性)

働くことはいいことです。
働けば収入が手に入ります。体を動かし、生活リズムが整います。でもこれ以外にもいいことがあるようです。

􀂀 仕事に没頭し、病気を忘れる時間が持てる。「患者」とは違う自分が持てる。

􀂀 自分の人生を自分で歩いていると思える。

􀂀 目標や目的、生きがいや楽しみができる。

􀂀 役割ができ、人から期待される喜びを感じられる。何かをやり遂げ、乗り越える達成感を味わえる。

􀂀 自分を信じてくれる仲間、尊敬して真似したくなるような人物に出会える。

精神疾患がありながらも充実した人生を過ごしている方たちがいます。こういう方たちにもこれらは当てはまることです。
病気が治ってきたから働くのでなく、症状があるからこそ働いて、充実した時間を取り戻す必要があります。
病気だからこそ、働きましょう。

主治医にも支えられ、仕事を始めて3 ヶ月が過ぎた頃、職場で挨拶ができるようになり、仕事のスピードが速くなりました。睡眠薬なしで眠れるようになり、仕事でも人間的にも自信が持てるようになっていました。
(躁うつ病、30 代、男性)

適切な援助があれば働けます。
研究から次のような援助があると、精神疾患があっても働けることが分かってきました。

どんな人がいい?

􀂈 あなたの話をよく聞き、気持ちを大切にしてくれる人

􀂈 みんな一緒のプログラムではなく、1人ひとりマンツーマンで応援してくれる人

􀂈 あなたのいいところ、やりたいことや好きなことをよく見ている人

􀂈 何事も前向きに考え、あなたのやる気を引き出してくれる人

􀂈 あなたの親、医者、会社や市役所の人、作業所の職員さんや保健師さんなどと連絡し合ってくれる人

今、私は仕事をしているおかげで生活がとても充実して、よき友に恵まれ幸福な日々を送っています。働くと生活のリズムが取りやすくなるし、人と交わっていないと治りづらいと思います。薬を服用しているので仕事を覚えるまで多少時間がかかりますが、絶対に仕事はできるようになります。
(統合失調症、50代、男性)

どんなことをしてくれる?

􀂈 向いている仕事を一緒に考え、ハローワークなどへ同行して就職活動を手伝う人

􀂈 仕事場にも来て仕事の仕方を一緒に考え、同僚や上司と話してくれる人

􀂈 就職した後も働き続けられるよう相談にのってくれる人

􀂈 働くために専門学校に行ったり、資格を取るための勉強も手伝ってくれる人

病気のことは?

􀂈 精神疾患のこと、病気だと苦手なことや薬の副作用に詳しく、必要な配慮が分かる人

􀂈 体調を管理するサポートが上手な人

􀂈 医者も働くことを応援してくれるように連絡してくれる人

私は、2年ほどある企業にて仕事をしていますが、私にとっては本当のリカバリーとはまだ言えず、時間が必要だとも思っています。今、私は健常者にも勝る何かを得たいという気持ちでいっぱいな状態です。とりあえず今年は仕事の時間を増やし、執筆だけでも続けたいものです。
(統合失調症、40代、女性)

相談してみよう
「働きたい」と思ったら、次のようなところで相談してみることです。このパンフレットを持っていき、必要な援助を求めましょう。

􀂈 地域の障害者就業・生活支援センター
障害がある方が働けるよう、生活面の支援も一緒にしてくれる専門機関です。

􀂈 かかっている病院の医療相談室
色々な相談はもちろん、地域で利用できるサービスを紹介してくれます。

􀂈 住んでいる市役所の障害福祉課
障害手帳や自立支援医療の手続き以外にも、利用できるサービスを紹介してくれます。

病気を持っている方が頑張っている話を聞いて、自分でも仕事ができるのではと思い、チャレンジすることにしました。医師には「働くにはまだ早い」と言われデイケアを勧められましたが、お試し参加でやめることにしました。今は病気をオープンにして、1日5時間、週5日の軽作業をしています。仕事は一番充実した時間で、自分が元気になる要素があります。
(統合失調症、20代、男性)




PS について
精神障害者は対人関係が苦手でストレスに弱い、不器用だから色々訓練してからでなければ働けないと考えられ、訓練重視の就労支援が多く提供されてきました。しかし、職探しをいち早く行い、実際に働く職場に合わせて支援した方がずっとうまくいくことが分かりました。さらに本人の希望や気持ち、そして長所を尊重し、医療と一体となると、統計的により高い就職率や定着率が確認できました。この方法をIndividual Placement and Support の頭文字を取り、IPS(アイ・ピー・エス)と呼びます。日本でもこうした援助が具体的に紹介されています。IPS は精神疾患がありながらも充実した人生を歩めることを目指して、就労などの社会参加支援を行ないます。


IPS の7原則

1. 働きたいと希望するすべての方を対象とする

2. 就労支援と医療保健サービスを一体的に提供

3. 職探しは本人の希望、興味、好みに基づく

4. 福祉的就労でなく短時間でも一般就労を目指す

5. 本人が希望すれば迅速に職探しをする

6. 生活保護や年金など経済給付の相談も受ける

7. 就職後のサポートも行う

くわしく知りたい方は

􀂾 働くこととリカバリー‐IPS ハンドブック
(出版:クリエイツかもがわ)

􀂾 リカバリーキャラバン隊ホームページ
http://recoverycaravan.blogspot.com/

発行・作成:リカバリーキャラバン隊 平成232