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https://www.facebook.com/recoverycaravanTai

福祉新聞でリカバリーキャラバン隊の冊子「精神疾患を持つ方が働くための合理的配慮の会話帳でっかい輪」を取り上げていただきました。

多くの皆様のおかげでいい冊子になりました。心より感謝いたします。

精神障害者が働くために必要な合理的配慮とは

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/10061

キャラバン隊がNHKハートネットTVブログの取材を受けています

仕事とともに、このキャラバン隊の活動が大きな生きがいとなっていると紹介されています。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/223531.html

2011年2月28日月曜日

【QAシリーズ】やる気(単純作業を楽しむ)

【QAシリーズ】やる気(単純作業を楽しむ)
Q:精神障害者の就労支援をしています。仕事が単純作業のため、つまらない、やる気が出ないという方がいますが、どのように支援していますか?
 
A:ゴミの仕分けの仕事を宝探しと考えて、わくわくしながら作業している方がいました。実際に現金が見つかることもあるそうです。仕事をどうとらえるかで、随分違ってくるものです。
 ティッシュ配りやチラシを家庭のポストに投げ込むポスティング、ベルトコンベアーでの流れ作業などを楽しんでいる方は、作業量などを計測して、より早くより多く作業できるよう研究するなどゲーム性を取り入れていました。そうすると作業中は没頭するそうです。この状態はフローと呼べそうです。単純作業であっても計測して困難度を上げて、自分の技能が必要な状態にして関わります。計測することでゴールも明確になり、自分へのフィードバックも得やすくなります。このような条件がそろうと人は没頭して、時間を忘れるなど自己意識がなくなり、あとで振り返ると楽しい思い出となり、またやりたいと思うものです。

2011年2月27日日曜日

【QAシリーズ】就職の不安

【QAシリーズ】就職の不安
Q:精神障害者の就労支援をしています。就職が決まったものの、直前になり本人が不安になってやる気が出ないようです。こんなときどんな支援をしますか?
 
A:疾患の有無にかかわらず、働き始めるのは不安になるものです。まずこのことを伝えたいところです。
 そして漠然とした不安の内容を具体的に明確にして枠づけることで、取り上げられるようにします。不安になる前の思考や状況を明確にします。そこに楽観的な認知を入れて、不安の拡大を止めます。
 楽観的な認知は不安の拡大だけでなく、やる気を引き出す効果も期待できます。採用されたということは自分の努力が受け入れられ、認められたこと。この調子だと仕事以外もなんでもうまくいくだろう、と考えるサポートをします。
 地道に積み上げてきたこと、できるようになったこと、過去の成功を確認したり、見事に働いている他の精神障害者の事例を紹介することで自己効力感を高めることも有効でしょう。
 IPSでは「失敗はない」と考えます。つまづいたり失敗したらそこから一緒に学びましょう、そういう経験から得たものこそが人を本当に成長させます、とメッセージを送ることもIPS支援者としてはぜひ行いたいところです。

2011年2月25日金曜日

【QAシリーズ】やる気と見通し

【QAシリーズ】やる気と見通し
Q:精神障害者の就労支援をしています。職場復帰が決まったものの経験したことのない部門への復職で、本人がやる気が出ないようです。こんなときどんな支援をしますか?
 
A:具体的にやることのイメージを持てないと、人はやる気が出ません。料理をしたことのない若者や男性が調理実習でぼうっとしてしまうのは、何をしてよいか分からないだけです。たとえお腹が減っていたとしても豚のバラ肉を目の前にして、肉の塊に映るのか、豚の角煮の食材に見えるのかで出てくるやる気は異なるでしょう。
 こういう場合、どういう仕事なのか試す、あるいはシュミレーションしてみることにつきます。仕事内容を具体的に知ることで安心すると同時に出てくるやる気があるでしょう。

2011年2月24日木曜日

【QAシリーズ】性格の長所を活かす

【QAシリーズ】性格の長所を活かす
Q:精神障害者の就労支援をしています。働き始めたものの、特に本人の希望した仕事だとか夢ある仕事ではないためか、仕事がつまらないようです。こんなときどんな支援をしますか?
 
A:性格の長所を活かした仕事をしていると、人はその仕事を天職だと感じます。
 保育士だった方が、清掃作業中心の用務員として復職しました。はじめはやる気も出ず不満だったようですが、人と接するのが得意な明るい性格を活かして職場を活気づけるようになります。そして子どもとしばしば接することもある中で、この仕事に満足していくようになりました。
 清掃業務の中でも、研究熱心な方であれば例えば最適な掃除道具や洗剤の研究をする、思いやりのある方ならば人が嫌がるような場所を積極的に磨いて感謝される、芸術的センスがあればちょっとした置物や絵画を飾る提案をして認められるなどにより、長所を活かすことはできます。
 支援では性格の長所を見極め、そのことを活かしていると確認できる機会を提供することを探るとよいでしょう。

2011年2月23日水曜日

【QAシリーズ】非現実的な目標

【QAシリーズ】非現実的な目標
Q:精神障害者の支援をしています。本人の希望や目標を大切にするとのことですが、例えばウルトラマンになりたいなどの非現実的な目標でもよいのですか?

A:私たちは、それも立派な目標だととらえます。
 精神障害者のアドボケイト(権利擁護者)養成研修では、「宇宙飛行士になりたい」と言う方がいれば、障害によりその可能性が制限されることがないようその方法を一緒に探す、と説明がありました。本人が見ている景色を大切にします。
 Qのようにすぐに理解が難しい場合でなくとも、本人が示した希望や目標について質問を重ねながら内容を深めていきます。この協働作業が目標を創ることとなります。なぜウルトラマンになりたいのか?そうなると今と何が違うのか?その目標にはどうしたら近づけるのか?身近に同様なモデルはいるのか?などについて対話しながら、その目標を役に立つものに創りあげていくことが可能です。
 野球好きの青年は、王貞治さんになりたいと答えてくれました。まじめで努力家な人になりたいということでした。戦国武将になりたいと言う方は、小さなことに動じない不動の魂を持つ男になりたいとのこと。お母さんになりたいと言っていた方は、自分のお母さんみたいに優しくて親切な人になりたいとのこと。そのために自分も働いて、子どもに貢ぎたいと実習に挑戦していく方もいました。
 確かにテロリストになりたい等の反社会的な目標が出てきた場合は、慎重に取り扱うべきでしょうが、そのような経験はまだありません。

2011年2月22日火曜日

平成22年度精神障害者退院支援関係者研修会(長野県)

【緊急】東京電力管内1都6県の計画停電の影響から都内交通機関が本日は大混乱し危険なことが見込まれるため、残念ながら本日のリカバリーカフェ「リカバリーで行こう」は急きょ中止させていただくこととしました。参加申込した方には主催者より連絡させていただく予定ですが、電話もつながりにくいため、予めご承知ください。
中止の判断が当日の朝になったこと、研修講師側の都合によることをお詫び申し上げます。
同様の企画を積極的に検討しております。今後ともよろしくお願いいたします。

平成22年度精神障害者退院支援関係者研修会(長野県)
「リカバリーで行こう」~地域生活移行・地域生活支援体制づくりにむけての取り組みについて~

1 目 的
精神障害者の地域生活移行の促進を図るためには、医療・保健・福祉などの関係者の支援力の向上と連携強化が重要である。今回、注目されつつある「リカバリー」について考えることで、精神障害者への適切な対応・支援方法を学ぶとともに、地域で生活する精神障害者の支援体制を充実強化することを目的に研修会を開催する。

2 主 催
長野県精神保健福祉センター  
長野県上田保健福祉事務所

3 日 時 平成23年3月14日(月) 午後1時30分から4時30分

4 会 場 上田合同庁舎 6階講堂 (上田市材木町1-2-6  TEL 0268-25-7149)

5 内 容
 【第1部】:講義:リカバリーとそのサポートについて
 リカバリーを知らない方がいることも踏まえて、リカバリーについて情報提供する。
(1)リカバリームービーの上映
(2)私のリカバリー①渥美正明
(3)リカバリー(飯野)
(4)私のリカバリー②岡本さやか
 【第2部】:ワークショップ:リカバリーを応援するとは
 リカバリーを応援するとはどういうことかについて、4人一組でアイデアを出し合い、話し合いながらキーワードを絞り、班毎に内容を発表。その後、教科書等に書かれている原則を紹介。最後に皆の発表を基に、長野版リカバリーサポートの原則を作成することを目標とする。
(1)リカバリーを応援するとは
(2)リカバリー志向の支援原則の紹介
(3)長野版リカバリー志向の原則作成

6 講師    リカバリーキャラバン隊 飯野 雄治氏・中原 さとみ氏・渥美 正明氏・岡本 さやか氏

7 対象者
市町村保健・福祉関係者、障害者支援センター・医療機関・就労移行支援事業所・就労継続支援事業所・地域活動支援センター等関係機関職員、上小圏域精神保健福祉関係者、その他関心のある者

8 申し込み
この研修は長野県の事業であるため、参加できるのは長野県の上記対象者に限られます。詳しくは平成23年3月7日(月)までに、上田保健福祉事務所健康づくり支援課保健衛生係にご相談ください。
電 話   0268-25-7149
FAX    0268-23-1973
Eメール  uedaho-kenko@pref.nagano.lg.jp

【QAシリーズ】やる気と意味付け

【QAシリーズ】やる気と意味付け
Q:精神障害者の就労支援をしています。職場復帰が決まったものの、本人が望んだ部署とは異なる部門への復職で、本人がやる気が出ないようです。こんなときどんな支援をしますか?
 
A:仕事へのモチベーションを上げる方法にはいくつか考えられますが、異なる部門とはいえ本人が望んだ職場と同じ会社であることを手がかりに、動機づけ面接あるいは意味づけによる認知療法的な方法を紹介します。
 保育士として働いていた方が用務員として復職しました。仕事内容も変わった上に、大好きな子どもに関われない仕事。とても不安でしたが、用務員の仕事も子どもたちの幸せに大きく貢献していることに気付き、活き活きと仕事している方がいます。望んだ部署でなくとも、一歩下がって企業として全体を見てみるとその仕事に無関係ではないことに気付きます。
 仕事内容にやりがいを見つけられなくとも、より上位の希望や目標との関係を確認することでモチベーションを上げられることがあります。働いたお金で月に1回は家族で外食を楽しみたいとか、環境保護に貢献したいとか、いわば人生の大きな目標のために復職が意義ある生活だと認識することでやる気がでることがあります。

2011年2月21日月曜日

【QAシリーズ】不適切な仕事ぶりを注意する

【QAシリーズ】不適切な仕事ぶりを注意する
Q:精神障害者を雇用しています。職場でミスをしてもきちんと報告しないとか、仕事を適当に済ませてしまう方がいて、どのように指導するか悩んでいます。厳しく言ったら落ち込み、出社拒否などに至るのではないかと不安です。どうしたらよいでしょうか?
 
A:ケースバイケースですが、一般の社員と同様の対応が大切だと考えています。
まず、適当な報告をすることのデメリットを、会社としてはっきり伝えることは必要でしょう。会社としてのデメリットの説明から始め、例えば「給料が下がる」「解雇される」などの本人にとってのデメリットまでを分かりやすく伝えるとよいでしょう。個人的に説明するより会社として説明した方が、後に個人的な人間関係についての誤解に発展するリスクは小さくなると考えられます。
以後は支援機関の助けも利用するとよいかもしれません。次に、働いている動機、本人の長期目標を確認するとよいでしょう。子供たちにもう一度お父さんと呼ばれたい、給料で月に一度は家族を外食に連れて行きたい、など色々あると思います。具体的に、詳しく本人が説明できるよう、外食って?いくらくらいの?レストランでどんな会話がされますか?と質問を続けるのもよいでしょう。
そして、適当な報告をすることで長期目標が遠ざかる、ということが気づくことをサポートします。支援者がこれを先に気づいたり、語ったりすると逆効果になります。「仕事をさぼると解雇されますよ」と語りかけると「だって、疲れちゃうんです・・・」など適当な報告をすることのメリットばかり語りだすというわけです。適当な報告をすることのメリットも聞いた上で「長期目標にたどりつくには、どうしたらよいのですか?」「じゃあ、ここで仕事を解雇されると難しいですね、でも、仕事はさぼりたいですものね?」と尋ねるのはどうでしょうか。
最後に、適当な報告をしないで仕事をする具体的な方法を考える支援をします。疲れてしまうなら、仕事量を調整すればよいわけです。ウソをつかずに報告しないで頑張れた経験、今まで長期目標のために乗り越えられたこと、そのために利用できそうな資源、性格の長所などを一緒に探しては列挙し、やる気を高めるサポートをします。仕事量を調節するならば、それを上司に相談するための小さな一歩などを考え、計画を立てます。
 
l         関連項目 動機づけ面接、自己効力感、認知行動療法、解決志向アプローチ

2011年2月20日日曜日

【QAシリーズ】不採用が続く時

【QAシリーズ】不採用が続く時
Q:精神障害者の就労支援をしています。就職面接に落ち続けて、やる気を失ってしまう方がいますが、そのような場合どのように支援していますか?

A:不採用の結果を受けるなど、自分ではどうしようもない状態が続くと、一般的に人はやる気全般を失うものです(学習性無力感)。こんなときは次のような楽観主義を本人が採用できるようなサポートをします。
 まず、不採用になっているのは特定企業の特定の求人についてだけであり、生活の他の部分について否定されたものでないという事実を確認する。次に、今回不採用になっただけであり、今後の就職の可能性について否定されたものではないという事実の確認。最後に、不採用になったのは自分の落ち度ではなく、募集が少なかったという会社側の事情や社会情勢によるもの、あるいは適した人材がちょうど重なったことにもよると考えること。
IPSでは不採用は失敗ではなく、成功のもとととらえ続けます。改善すべき点に気づく場合も実際には多々あります。これは取り入れていくとよいでしょう。
不採用という一見マイナスな経験からこそ学び取れることがあるかもしれません。「不採用が続くと就職活動を投げ出す方が多いのに、なぜ頑張れるのですか?」と尋ねてみるのもよいでしょう。うまくいっていることもあるはずです。
本人の長所などを再点検して、就職活動の方向を考え直すことも検討します。うまくいっていることは続ける。うまくいかないことは、とにかく別の方法を試してみる。そして少しでもうまくいけば、続けていく。単純な原則が役に立ちます。

2011年2月19日土曜日

【QAシリーズ】リカバリーの伝え方

【QAシリーズ】リカバリーの伝え方
Q:デイケアで精神障害者の支援をしています。就労に限らず、リカバリーという視点はメンバーさんの回復を促すのにとても有効だと感じました。リカバリーという概念をどのようにメンバーさんに伝えていますか?

A:お考えのように、リカバリーの可能性を伝えることは有効です。
 個別面接では、DVDを見てもらう、リカバリーを経験している当事者の手記を紹介する、リカバリーを経験している別のサービス利用者と会って話してみる機会を提供する、リカバリーの歴史や要素について解説するなどを随時行っています。
 また学習会や講演会を院内外で開催し、個別面接で行っていることをステージ上で行う、あるいは10人程度の集団プログラムでリカバリーに関することを話し合うことなどを行っています。
 これはメンバーさん、つまり精神障害の当事者だけでなく、その家族にも参加していただけるよう案内しています。働きたいと言っている本人を「現実的ではない。病気の症状だ」と考えていた家族がリカバリーを知り、いい影響を与えるサポーターになることも多々ありました。

2011年2月18日金曜日

【QAシリーズ】主治医の役割

【QAシリーズ】主治医の役割
Q:精神障害者の支援をしています。IPSという就労支援サービスにおいて主治医の果たす役割はどんなことですか?

A:就労支援に特化した役割は、担ってもらっていません。主治医に限らず、本人の力、つまりエンパワメントやリカバリーを邪魔しないということは大切です。医師の持つ技術にもよりますが、働くための認知行動療法、心理教育の提供がある場合もありますが、これらは医師でなくても提供可能です。
薬物療法の提供は、医師のみにできる役割です。ときには検査してホルモンバランス等に気を配り、働き続けたいという本人の強い願いに応えようと適切な薬をチームで模索することもあります。
また診断書や意見書の記載も医師の特権です。治療と就労支援が同じ事であるという判断に基づいた診断書や意見書は、リカバリーの可能性を広げます。このような方針を示すことは、医師の大切な役割だと感じています。

2011年2月17日木曜日

【QAシリーズ】エンパワメントのパラドックス

【QAシリーズ】エンパワメントのパラドックス
Q:精神障害者の家族です。エンパワメントのパラドックスって、言葉が難しくて分かりません。教えてください。

A:パラドックスとは矛盾という意味です。
 黒人がまだ差別されているとき、黒人が活躍できないのは能力がないからではなく、能力がないと決めつけられているからだと気づくようになりました。偏見により十分に力が発揮できない状況を改善し、本来持っている力を発揮できるような援助が大切だと考えられるようになりました。こういう援助の仕方をエンパワメントと言います。
 どんな弱そうな人、無力そうな人でも実は可能性を持っていると考えることができるようになりました。適切な援助があれば、力を発揮できるというわけです。しかし、本人が力を出すように援助しすぎると、逆に本人は力を発揮できなくなることも分かりました。自分で問題をとらえたり、解決する機会がなくなってしまうからです。
 どうせ無理だとあきらめてはいけない。力を持っていないわけではなく、あきらめることで力が発揮できなくなる。だからその力を引き出せばよい。しかし、引き出そうと躍起になるとむしろ引き出せない。これをエンパワメントのパラドックスと言います。

2011年2月16日水曜日

【QAシリーズ】働こうと思ったきっかけ

【QAシリーズ】働こうと思ったきっかけ
Q:私は精神科の医師です。デイケアは一般的には生温くて居心地がいいため、わざわざ働きたいと思わない方もたくさんいるのですが、どうして渥美さんは働きたいと思ったのですか?

A:デイケアで就労支援してもらえるメンバーさんっていうのは、僕らの中でも何となくわかるんです。きっと私はまだまだだなと思っていました。掲示板に「希望する方は、ハローワークに同行するなどの支援をします。」と書かれたポスターが貼り出されました。私がそのポスターをじっと見ていたとき、ワーカーさんが「渥美さんも働いてみない?」と声をかけてくださいました。どうやら僕の目の輝きが違っていたそうです。
僕はこのとき、「あっ、自分の人生なんだから、自分で決めないといけないんだよな」って気づきました。そして「それじゃあ、お願いします」と言いました。
〈サポーターによる補足〉
渥美さんは長い入院生活も経験しましたが、どうやら常に働きたいという気持ちはあったようです。絶望的な時期を経ても現状で満足する気持ちはないようですが、「自分次第で自分の人生は変えられる」という感覚を手に入れてからは様々なことに挑戦しているように見えます。

2011年2月15日火曜日

【QAシリーズ】医療で行う意義

【QAシリーズ】医療で行う意義
Q:私は地域でのリハビリテーションに力を入れてきた医師です。IPSのような就労支援や地域統合は最近では福祉の仕事として整理される傾向がありますが、医療で行う意義は何ですか?

A:私たちも福祉系サービスを最大限に活用していますが、IPSの大きな特徴の一つとして「医療保健サービスと就労支援サービスの一体提供」があります。
これにはまず、医療と福祉の縦割りの弊害を乗り越える意義があります。地域の福祉機関からすれば、主治医等との方針の不一致により本人が振り回されることを避けることが可能となります。
もう1つの積極的な意義は、治療と就労生活を支えることは同じだという理念の実践というわけです。言い方を換えれば、障害や疾患が治ってきたから働こうというのでなく、障害があるからこそ働こうというわけです。医療と福祉にリカバリーという共通言語があれば、いずれも可能になることを経験してきました。
IPSを医療機関が提供することにより、医療従事者に意識の変化を与えるという副次的な意義もあります。患者さま第一主義などの美辞麗句ではなく、サービス提供者の「予想に反して」リカバリーを手にしていく当事者を目の当たりにすることは、「支援とはこうあるべき」という医療従事者のいわば認知のゆがみを解消していく素材となります。IPSは医療の質を上げるエンジンとなります。

2011年2月14日月曜日

【QAシリーズ】IPSの開始時期

【QAシリーズ】IPSの開始時期
Q:精神障害者の支援をしています。本人が働きたいと言っても意志が弱い場合も多く、本人の中で準備が整うのを待つ必要があると思いますが、IPSはいつ頃からスタートするのですか?

A:「働きたい」と言えば、どんな状態であろうともサポートは開始します。ただし、これは「すぐに就職させること」とは違います。
「準備が整う」ことのサポート、つまりやる気や目標を引き出し、リカバリーの可能性を提示することもIPS支援であると考えています。「働きたいのですね。働くと、どんないいことがありそうですか?」と尋ね、働くことのメリットを明確にしていきます。具体的に、さっそく求人票を見せることで動機が高まる場合もあります。入院したその日から退院後の生活について尋ね、本人が望めばパソコン教室などへの外出のサポートも行います。「働きたい」と言う前からリカバリーや地域での生活に関する情報提供を行い、興味あることについて尋ねることもIPSの一環です。
そして、例えば本人がハローワークへ行ってみたいと言えば、ハローワークへ行く支援をします。身だしなみが整っていなければ、ハローワークでアドバイスされるでしょう。そして、働きたいという希望と受けたアドバイスをどのように消化するのかに寄り添います。働くこと以外でリカバリーの方法を探しだすかもしれませんが、それも応援するのがIPSです。

2011年2月13日日曜日

【QAシリーズ】病識のない人の体調管理

【QAシリーズ】病識のない人の体調管理
Q:精神障害者の支援をしています。自分は病気ではないとか、デイケアに行ってこんな病人たちと一緒にいたら病気になってしまいそうで怖いと言う方がおり、困っています。病識のない人の体調管理は、どのように支援していますか?

A:病識がないと言っても、支援機関につながっているようなので、その場合についてお答えします。
「主体的な療養生活」が目的の心理教育プログラムでは、病気を受け入れ、病気と向き合い、対処法を持っていきましょうと促すのが定石でした。つまり病気と向き合うことを本人に求めます。しかし、病識がないことを私たちは長所や可能性ととらえます。病気を受け入れたとしても認知行動療法で病気と本人を切り離す作業が必要となります。病識がないとは病気と自分とが切り離せていることであり、すでにリカバリーの要素を満たしているわけです。病気と向き合わなければならないという支援者の固定観念が、本人を苦しめかねません。
私たちの利用している体調管理シートや目標と計画シートは、いくつかの臨床技術に基づき作成していますが、障害や疾患に特化した内容や表現を採用していません。実際に企業等でのメンタルヘルス研修でも利用しており、疾患の有無にかかわらず利用できるシートです。「病識のない方」にも、疾患の有無にとらわれずシートを書き込んでいただき、働きたいなどの希望を応援するようにしています。
症状と考えられるものへの対処法を身につけることもありますが、生活に必要な対処法の全体を取り上げることが可能となります。

2011年2月12日土曜日

【QAシリーズ】病気は弱点だろうか

【QAシリーズ】病気は弱点だろうか
Q:私は就職活動中の精神障害の当事者です。就職の面接のときに、病気や入院のことは弱点なので尋ねられたら何と答えたらよいのか、分からず不安でたまりません。何と説明したらよいでしょうか?

A:病気になった経験を前向きにとらえて説明することで、チャンスに変えられるかもしれません。「若いときの苦労は買ってでもしろ」ということわざもあります。精神疾患に限らず困難な経験を経たことは、採用面接でPRできる強みなのです。例えば、病気になることで心の痛みを知ることができた、だから人に優しくしたいと思うようになった。病気になることで人に支えられていることを知った、だから感謝の気持ちを大切にするようになった、といった具合です。
ある人は「病気になって辛い思いをして学びました。リカバリーを通して学んだこと、体験した事は、たとえ自分が何かから立ち直ったとしても、就職できたとしても、もしかしたら病気が治ることがあっても、ずっと心に留めておかなくてはいけないんだと思います。病気をしたことにより起きたいろんなことが、これから先をきっと支えてくれる。そんな風に思えたらいいなと思っています。」と話してくれました。精神疾患を経験しているとか、困難を経験しているとは、強みなのです。
精神疾患という経験から人は次のようなものを得ることができると言われています。前向きな経験なんてない!という方は、参考にしてください。どんな小さなこと、気付き、変化や成長でもかまいません。それを見つけて、説明してみましょう。

1. 人間関係の深まり:人間関係での気づきなど
2. 内面の成長:人生の価値観の変化など
3. 健康管理:健康の自己管理がうまくなったなど
4. 精神障害に関する関心や理解の深まり
5. 社会の中での新たな役割を見出したなど
6. 宗教などを信じることなど

DVD「リカバリーと働くこと」(日本語吹き替え版)

廊下の天井がくずれ落ちていたような、バーモント州バーリントンのDays Innの部屋で、インディアナ大学准教授久野先生からDVD日本語吹き替え版制作について勧めていただいたことが、多くの方に多大なご支援を賜り、このような形で実現いたしました。 ここにご紹介させていただきます。

DVD「リカバリーと働くこと」(日本語吹き替え版),2008
日本語版監修:インディアナ大学准教授 久野 恵理
制作協力:桜ヶ丘記念病院
協賛:ヤンセンファーマ株式会社

国際協力基金日米センターの助成を受け、個別職業紹介とサポート(Individual Placement and Support ;IPS)を実践しているハワードセンターウェストビュー雇用サービス部門を介して 、当事者、事業主、支援者を取材し構成されたDVDの日本語版。地域のなかで仕事をもつことが当事者のリカバリーの一部になるということが伝わってくる内容になっている。
◎医療福祉関係者へ無料で提供中。

【申し込み方法】下記メールアドレスに所属機関、送付先を連絡ください。
お一人様一部までです。 dvd-info@work-recovery.jp

ハワードセンター見聞報告はこちらをご覧くださいませ。
NTTクラルティコラム 「リカバリー」
http://www.u-x3.jp/modules/tinyd14/index.php?id=17


2011年2月11日金曜日

【QAシリーズ】クライシスが怖い

【QAシリーズ】クライシスが怖い

Q:精神障害者の支援をしています。クライシス、つまり体調を崩して最悪の事態になった危機的な状態を想定した対処法を作ろうとすると、本人が「クライシスを考えると、そうなってしまいそうだ」と怖がってしまうことが多々あります。何かいい方法はないですか?

A:私たちの臨床でも同様のことがありました。集団プログラムでも、その部分なると怖くなるため席をはずしてしまう方もいました。私たちは同様の状態を赤信号、注意サインを黄色信号、元気な時を青信号と名付けて、対処法を作り上げています。
信号にたとえることで、サインや状態について本人の理解が進みやすいなどの効果もあります。状態像を明確にすることではなく、そのときの対処法を持つことに焦点が行きやすくなるとも考えています。クライシスという言葉におびえていた方は、赤信号のときに取るべき行動として「注射」と書けるようになりました。

2011年2月10日木曜日

【QAシリーズ】上手なほめ方

【QAシリーズ】上手なほめ方

Q:ほめることの必要性はわかりましたが、失敗すると「なにバカにしてるんだ」などと相手を不愉快にさせる経験もしてきました。上手にほめるにはどうしたらよいでしょう?



A:確かに「いいメガネですね」「ネクタイお似合いですね」とお世辞を言ったり、「目玉焼きを作るなんて偉いですね」と本人にとって簡単なことをほめるのは相手に不快感を与えかねません。ほめるときの視線や声のトーン、タイミング、ボキャブラリーも大切ですが、ここでは誉める内容について紹介します。

本人が自分の長所だと考えている点に焦点を当てることが大切だと考えています。たとえば嫌な仕事を何とか乗り越えてきた方。話を聞くと我慢することの必要性も語っています。そうであれば、その我慢強さに焦点を当てて具体的に指摘する、あるいはさらに質問することがその方の可能性を広げます。アイデアで乗り越えてきた方ならば、その創造性に焦点を当てるとよいでしょう。他の人と比較して我慢強いかどうかは、関係ありません。

たとえ外見のことを誉めるとはでも、本人が大切だと考えている「ネクタイ」であれば不快感は与えないでしょう。

誉めることの最大の目的は、その本人が自分の長所や可能性に気づくということです。自分の可能性を語り出すきっかけとして支援者は誉めていると考えるとよいでしょう。

関連項目:行動分析学、コンプリメント、ストレングスモデル、美徳と強み、ナラティブアプローチ

2011年2月9日水曜日

【QAシリーズ】自信が持てない方への支援

【QAシリーズ】自信が持てない方への支援

Q:精神障害者の就労支援をしています。就職がなかなか決まらず、本人が本当に働けるのか不安になることがよくあります。自信が持てない方も多くいます。どうしたらよいでしょうか?



A:1人ひとりの不安は異なるので一概には言えませんが、「もうできるようになったこと」に焦点を当てることを大切にしています。どんな些細なことでもよいので以前に比べて前に進んでいることを拾い上げ、一緒に確認します。「これだけ出来たのだから何とかなるだろう」と楽観的に考え、不採用になったなどストレス源が明確な場合は「今回のこの会社では別の人が採用されたにすぎない」と不安が拡大しないようなサポートをします。

 疾患の有無にかかわらず、先の見通しやイメージが持てない、前に進む方法が分からない場合は、不安になりやる気は出ないものです。ですからこの先のイメージを作り、それに至るプロセスを考えるサポートも行います。

 現に活き活きと働いている精神障害者の存在は、イメージ作りにも役立ちますし、何よりも励みになるようです。彼らの手記を紹介したり、実際に会って話をしたりする機会を設けることなども行っています。


関連項目:認知療法、自己効力感、動機づけ面接、楽観主義、解決志向アプローチ、ピアサポート

2011年2月8日火曜日

【リカバリーの物語2】リカバリーキャラバン隊員からのメッセージ

【リカバリーの物語2】リカバリーキャラバン隊員からのメッセージ
キャラバン隊のリカバリー配達員として、また疾患を経験した者の責任として使命として、疾患を経験してもリカバリーの信念さえ曲げなければどんなに症状が重たくともリカバリーできるという事をより多くの当事者、支援者家族の方々に伝えていきたいと思います。
ただ文章を読むだけでなく、自分の姿を見せて体中で伝えていきたいです。支援者や家族が当事者なしで研修を行っても、ただ教科書をなぞっているだけのものだと考えています。私はその支援者や家族だけの研修に歩く教科書として参加し、リカバリーできるという実感を持ってもらいたいと思っているのです。

私たちの声が届いているなぁと思える感想やご意見の山を見る度に、キャラバン隊のメンバー全員の心の中に、なんとも言えない達成感が生まれほっとするのです。
貴重なご意見や感想の数々はその都度、キャラバン隊の活動に活かされ身になっています。全国の方からメールもいただいており、キャラバン隊が力を合わせて声をあげればその反響はヤマビコのように四方八方から必ず返ってくるものと感じました。将来的にキャラバン隊が入院患者さんのところへ派遣されて行き、ピアサポートができたらもうこれ以上の幸せはありません。リカバリーの配達員として今後も希望のかけらを手のひらに少しずつ集めてそれを大きな喜びに変え、それを多くの方々に伝えていきたいと強く思います。

平成22年10月
リカバリーキャラバン隊
岡本さやか

2011年2月7日月曜日

【リカバリーの物語1】はじめに

Histories of our Recovery
リカバリーの物語

編著          
飯野雄治・中原さとみ
リカバリーキャラバン隊
Supported by Social Welfare Assistance Project
(Welfare and Medical Service Agency)
独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業

【リカバリーの物語1】はじめに
精神疾患があっても、充実した人生は送れます。
この経験をリカバリーと呼びます。
このことを知ることで多くの変化が起こります。

精神疾患に「どっぷり漬かっている人」、「お先真っ暗な人」にとって、充実した時間を手に入れる最初のきっかけになります。
困難が立ちふさがったときでも無力にならない可能性につながります。
家族にとっても、支援者にとっても、希望になりえます。
そして精神疾患に関係ないと思っている方たちは、このことにより正しく精神疾患を理解することにつながります。
リカバリーの可能性を様々な人が知ることにより、その可能性はさらに広がります。


この価値は、精神疾患や精神障害を知ることとは違います。障害の特徴やそのことへの対処法を知るという技術的なことではありません。
精神疾患があるということと、人生の質の良し悪しは、まったく別の次元のことだと知るということが、その可能性を現実のものとすることにつながるということです。
ですから、知識を得るだけでは、知ることにはなりません。自分の体験として経験し、「本当にそうなんだ」「そういうものなんだ」としみじみ感じることを意味しています。
私たちはリカバリーの可能性と魅力を紹介するために、リカバリーという経験の蓄積、共有、伝達を行っています。
皆さんの体験としてリカバリーを知っていただくために、リカバリーを経験した本人がそれを語る場を設けています。この冊子はその一環として作りました。
多くの方がこれを読んで、このことを知り、リカバリーの可能性がさらに拡がることを期待しています。

平成22年10月
リカバリーキャラバン隊事務局
飯野雄治、中原さとみ

2011年2月6日日曜日

前向きに


















キャラバン隊に書いてくださった稲垣直也さんの詩作です。
いつも心があたたまる作品をありがとうございます。

2011年2月5日土曜日

【活動のねらい3】リカバリーとは

【活動のねらい3】リカバリーとは

「こういう人たち」の経験をリカバリーと呼ぶ。リカバリーの定義は様々だが、英語に強い私たちの仲間が、英語の文献を読みつつ当事者としての経験も踏まえて次のように紹介している。

精神障害の当事者にとってリカバリーとは自分の生活の劇的な変化、それによるものの見方の変化である。(中略)リカバリーとは、こういう精神障害特有のわずらわしさはさておいて、自分の夢を持ったり目標に向かって生きがいを感じたり、人間関係を豊かにするといった、人生や社会に対してより積極的な態度を病人が持つということである。(中略)プロカバリーも(略)「いつでもよい、どこからでもよいから一歩踏み出す」という立場である。そしてその土台に希望を持つことを上げる。(略)これからの精神保健福祉サービスは重要な資源として希望を患者に与えることが重要になるだろう。

私たちは、リカバリーという経験を社会資源として活かすための活動を行っている。当事者が集まって何かをしようと活動しているのでなく、リカバリーの魅力を伝えるための才能と熱意を持った者による活動なのである。

2011年2月4日金曜日

【ジョブマッチング講座14】マッチングの原則は雇用ノウハウ

【ジョブマッチング講座14】マッチングの原則は雇用ノウハウ
 ジョブマッチングの原則として紹介したものは、実は精神障害者を雇用している企業にとっては常識のようです。企業の雇用ノウハウを調査した際には、次のようなものがありました。
案ずるより産むが易し。基本はまず仕事に入り、問題があればそのつど解決を図ってゆくというスタンス。
まず仕事。つまづく点はその方のやりやすい方法で工夫すればよいのです。
作業の様子を見て作業を追加していきます。
本人が得意な分野から入り、成長したら苦手分野に挑戦していく形をとる。
担当業務は職歴や得意分野、本人の希望を考慮し決定しています。
配属後も適性・希望を重視し、異動できるよう配属しています。能力を一番発揮できる作業は何か常に模索しています。
仕事に人を配置するのでなく、社員(人)に仕事を用意しています。
 ジョブマッチングにエネルギーを注ぐことは、支援者、企業、本人のいずれにも大切なことです。続いて、そのマッチングの探り方を分解することを試みてみましょう

2011年2月3日木曜日

3/20精神障がいを持つ方への就労支援:IPS研修(広島)

独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業

精神障がいを持つ方への就労支援:IPS研修

「働くこととリカバリー」~就労支援モデルIPSの活用について~
IPS(Individual Placement and Support)とは、1990年代前半にアメリカで開発された、精神障がいを持つ方への就労支援モデルです。「就労そのものが治療的であり、リカバリー※の重要な要素となる」という信念を持ち、就労率を高めることや就労期間を延長させることが多くの研究や無作為試験により実証されている、科学的根拠に基づいた実践プログラムです。
今回は、精神障がいを持つ方が自らリカバリーする機会が得られるようリカバリーキャラバン隊により、IPSによる就労支援の理論やスキル、実践経験、アイデアについて紹介させて頂きます。当日はIPSを利用してリカバリーした方も講師として参加されます。多くの皆様のご参加をお待ちしております!

※リカバリーという言葉には普遍的な定義はなく、「リカバリーとはより個人的なものであり自らの選択によって自分らしく生きることである。そして、【希望】【元気を取り戻すこと】【自分に責任をもつこと】【生活の中に有意義な役割を得ること】などがリカバリーにとって大切なことである」などと説明されている。

講師:中原さとみ(リカバリーキャラバン隊・IPS-Tokyo・桜ケ丘記念病院)
   飯野雄治(リカバリーキャラバン隊・IPS-Tokyo・稲城市役所)
   渥美正明(リカバリーキャラバン隊・足立リカバリーサバイバー)
澤田恭一(就労支援センターワークネクスト)

日時:2011年3月20日(日)
   10:00~17:00(受付は9:30~開始します)

会場:広島市東区民文化センター
   住所:広島市東区東蟹屋10番31号
   Tel:082-264-5551

<アクセス>
JR広島駅新幹線口より徒歩東へ約900メートル

参加費:無料

定員:40名

【お申込方法】
下記連絡先にFaxまたはE-mailでお送り下さい。 

【お申込み・お問い合わせ先】
医療法人社団更生会 就労支援センターワークネクスト(草津病院内)
Tel:082-277-1279  Fax:082-278-6401  E-mail:ips-h@goo.jp
担当者:澤田・丸山


【活動のねらい2】希望の存在

【活動のねらい2】希望の存在

とはいえ、医師や支援者が「必ず良くなりますよ」と言ったところで信じることができない。こんなときに、精神疾患から回復した人、いや回復していなくてもよい、精神疾患とともにうまく生きている人の存在が、唯一の明かりとなる。

同じ診断名、同じ国、できれば同じ病院、同じ主治医のもとで、このような人たちは本当に存在するのであろうか。どんな生活をしているのだろうか。こういう興味さえわかないこともある。しかし、こういう人たちと出会い話をすることで、急に目の前が開け、明日を生きてみようと思えることがあるようだ。言い方を換えれば、こういう人たちと話すことは、医師の処方や専門的なリハビリテーションよりも効果があるということとなる。

しかし、こういう人たちと出会ったり話したりする機会は、なかなか持てない。こういう人たちはデイケアや作業所を卒業するなど、精神保健福祉サービスにどっぷり浸かっていることがない。病人とか患者として生きているのは、診察の時だけだ。

こういう人たちの持つ希望を伝達する能力は、価値がある。ピア、モデリング、自己効力感など難しい言葉を利用しなくとも、分かるだろう。こういう人たちの存在という埋もれかかっている才能に私たちは注目している。

2011年2月2日水曜日

【ジョブマッチング講座13】マッチングの原則③必要なら仕事は創る

【ジョブマッチング講座13】マッチングの原則③必要なら仕事は創る
ジョブマッチングでもう一つ大切な原則は、必要ならば仕事は創るくらいの覚悟でアイデアを出すということです。別の言い方をすれば、仕事に人を合わせるな、人に仕事を合わせようという意味です。
 どうしてもハローワークなどの求人情報から逆算して仕事を探しがちになります。求人票には載らない仕事も世の中にはたくさんあります。求人情報から適職のアイデアが出ることもありますけれど、本人の興味、特技、長所、才能などを活かすことを優先して考え続けることがジョブマッチングでは大切になります。
仕事を創るプロセス自体が、1つの仕事になることもあります。芸術家として作品を売り出すための方法を考え、色々試してみる。絵葉書にして販売しやすいような作品を作るという作業が必要となり、新たな可能性を生み出します。やりたい仕事のためにアルバイトをして貯金をする。研鑽をつむ。学校に通う。そんな道のりが本人を活き活きとさせることもあります。

2011年2月1日火曜日

【活動のねらい1】希望というエンジン

【活動のねらい1】希望というエンジン

生きるには、希望が必要だ。もし何かをするとき、どうにもならないとか、やっても無駄だとか感じていたら、何もできないだろう。難しい、あるいは哲学的なことではない。希望とやる気は、セットになっている。これに疾患の有無は関係ない。

精神疾患を持つと、希望を持ちづらい。診断、処方、服薬指導、リハビリテーション、ヘルパーや居住サービスの提供。一昔前に比べると、先人たちの努力もあってかなり充実してきたかもしれない。しかし、ある当事者は言った。「いずれにも、希望が欠けている。」

精神疾患をわずらうとその次は、病気を受容しましょうとか、薬をちゃんと飲みましょうとか、訓練しましょうとか、自立しましょうと言われ続ける。無理をしないでのんびりしていなさいとも言われる。確かにみんな親切で優しい。しかし、薬をちゃんと飲んだり、訓練したりと努力したら、その先にはどんな未来が待っているのだろうか。それを説明してくれる人が誰もいない。

約束できないのは分かっている。必ず治るとか、必ず就職できるとか、そういう約束は難しいだろう。それにしても、ちゃんと頑張ったらどうなるのか、グループホームに入居したらどうなるのか。まったく想像できない。そんな状態では、それに取りかかるのは難しい。それを問題症状と片付けないでほしい。それは人として当たり前なのだから。