【リカバリーの物語12】
■自我の障害について
ペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニア
本物の自分を思い出すことは容易ではありません。特に精神疾患にかかっている私達は、ある意味で人にとって一番大切な自我の意識が普通の人よりも希薄で脆弱です。そのため、自分自身の考えが自分でまとめられず、周りの考えに左右され易いのです。この考え方の病は、自分の気持ちとは別個に動いていくことがあります。今こうしようと思っているのにそのことがなかなかできない。今こう思っているのにそれとは全く関係ない考えが頭をよぎる。空のかなたから大きな歌声が聞こえてくる。こういうことは薬物でしか治しようがありません。脳内物質の代謝異常なのです。ですが、夢とか希望というあふれる思いはこういった精神状態と全く違うものであると私は考えます。
このように統合失調症の症状(シュナイダーの一級症状)の原因としてドーパミン説、血流の異常説、皮膚の汚れ等諸説が説明されています。それでは我々の自我意識とか夜見る夢、将来の夢、あふれる希望などはどこからくるのでしょうか。一説に統合失調症の原因として(うつも同様な説なのですが)脳内の海馬というところの傷だという説があります。しかし、明日に向かう希望の力やリカバリーの力はこのようなミクロの説明では尽くされません。このストレングスは体全体から起こるもので、それこそ幻聴や妄想も吹き飛ぶ力です。人間をとりまく自然は不思議な力を我々に与えるということがはっきりわかりました。
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