【震災からのリカバリーのために⑥】
エンパワメント、リカバリーの先駆者と考えてもよい精神科医でありながら、文学者である中井久夫さんのコメントより抜粋して紹介します。
日本で一時にこれだけの災害はなかった。空襲も、これだけ広範囲ではなかった。今までの資料に書かれていないことも起きていると思う。阪神大震災の時は、神戸の中から色んな提案がでてきた。僕らは教訓より、現地の中の声に耳を傾けるべきだと思う。
だから分かったようなことは、何も言えない。被災した人たちが切り開こうとする道を尊重していくしかない。
周囲の人は、いま出来ることをやるより他にないと思う。「気の毒、かわいそう」という言葉は逆に反発を買うこともある。被災者の事は被災者でないと分からない、とも言うから。
失ったものへの思いは人それぞれだし、共感するのが簡単ではないくらい、災害は一人ひとり違う。地域によっても集落が全滅した所とそうでない所では、対応も違ってくる。心の傷は、回復する力を持っている。だからこそ被災者に敬意を持って、自尊心を尊重するのが大切だと思う。
過去に津波があり、集落が丸ごと壊滅した例もある。それでも人間が住んできた。まだ先は見えないが、集団として、社会として、立ち直ることは間違いない。
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