【QAシリーズ】IPSのエビデンス
Q:精神障害者の支援をしています。IPSはエビテンスがあるということですが、どのようなエビデンスですか?また、そのことが従来の、あるいは他の支援より優れているということを意味するのでしょうか?
A:IPSは、就労準備性を重視した支援方法に比べて就職率や就労継続性について、統計的に有意によい結果が計測されています。さらに準備性ではなく援助付き雇用(ジョブコーチ支援モデル)のなかでも、IPSの原則に従った場合は、さらによい就職率等がはじき出せると報告されています。ですから、サービスの目的と目標が就職することそのものにあるのであれば、就職率の改善をもって他の支援より優れていると言いきれます。
IPSサービスの目的は、リカバリーの実現です。一般就労や就学などの地域統合を実現することは、その手段と理解すべきでしょう。リカバリーの促進については、今のところ統計的報告は目にしていませんが、私たちの質的研究ではIPSサービスを利用している方が就職に至らなくともリカバリーが進んだことが明らかになりました。他の支援と比較したわけではありませんが、IPSがリカバリーの追及を応援するサービスであることは確認できています。
転院などによりIPSサービスを求めてくる人は、エビデンスや就職率に魅力を感じているようではないようです。働きたいと相談に来た方から希望の仕事を聞き出し、20分後には求人票をいくつか提示した際には、「こういう支援がほしかった。働きたいと相談しても今までは、病名や病歴などを先に尋ねられ、訓練所を紹介されてきました。」と言いました。人として当たり前の対応が受けられることで、利用者たちはIPSの魅力を感じているようです。エビデンスに魅力を感じているのは、患者より理論を重視する支援者かもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿